小林瑞穂(こばやしみずほ) 公式WEBサイト

不眠思考が不眠を悪化させる!ネガティブスパイラルからの脱出

日本人の約1割は睡眠薬など睡眠障害に効能効果のある薬を服用していると言われています。
その多くは、過眠ではなく不眠です。

単純に、従業員100人いれば10人です。
もし原因が、その業務内容や体制にあるならば、企業として改善を考えなければならないでしょう。

今回ここでは、不眠の切っ掛けや環境が最近の激務にあったとしても、
自分自身が症状を延長させてしまっている「思考」についてお話してみたいと思います。

不眠のネガティブスパイラルに陥ってしまっているタイプの方が気づきにくい、
自分でできる改善方法とは?合わせてご紹介いたします。

 

慢性不眠のネガティブスパイラルにハマる思考

1.そもそもの原因を考えない

どういうことか?というと、先ほど上げたように、仕事のスケジュールが原因の場合もあります。
人間関係などのストレスが原因かもしれません。環境が変わったばかりかもしれませんし、
不規則な生活かもしれません。運動不足かもしれません。実は他の病気が原因の場合もありますし、
それを治そうと飲んだ薬のせいかもしれません。コーヒー飲みすぎかもしれませんし、お酒の飲み過ぎかもしれません。

何が原因か?を考えなければ、解決のしようがありません。同じことの繰り返しです。
誰もが不眠になる前があったはずです。いつから?何が変わったのか?
思い出して、又は思い当たる節を上げてみてください。

 

2.眠れないからとりあえず睡眠薬思考

眠れない=不眠症ではありません。
不眠症か?不眠を呈する睡眠障害か?はたまた時間が短い=不眠だと思い込みか?によって、
お薬も効果がある場合と、逆効果を生む場合があります。
さらに、その目的で使う薬自体の副作用に不眠があったり、依存を形成させる場合もあります。

残念ながら、医師側も専門でない方もいます。その鑑別は難しくできない場合があるのです。

また、薬剤師の私から見ると、睡眠薬と言われるものは、
「治す」ではなくて自然とは違う形で「眠らせる」ものであって、対処療法の一つだと言えます。
今辛い!を改善する。体も眠れずにいると機能が低下します。とにかく休息させ、回復力を養う目的で利用するもの。

薬が全て解決してくれる思考・薬に頼りきりは止めましょう。

 

3.原因は全て眠れないせいだ!思考

ぐっすり眠れないこと、睡眠不足が、この疲労感の、この体調不良の、この落ち込み気味の根源である!
と、全てを眠れないせいにしようと考え始めます。

確かに、大きな原因の一つではあります。
でも、心も体も睡眠も全てつながっています。
原因は、一つではありません。

 

4.眠れないことばかりに意識を集中する思考

不眠のせいだ!の次は、その不眠についてなんとかしようと焦るあまり、
それに集中しすぎる状態にハマります。

自分の脳に自分で、私は今まともに眠れないのだと「眠れない私」をさらにすり込みます。

そして、ますます焦る・不安になる・また眠れないかもと緊張する・不安が増す・眠れない・・・
悪循環です。
だからますます体調も精神的にも優れない状態が続きます。

 

5.間違った思い込みに沿った改善策思考

そもそもの原因はなにか?
自分の睡眠障害のタイプは?
ほんとに不眠症?
それを見極めずに、

正しい睡眠の知識がない状態・噂の聞きかじりで、いろいろ試します。
いろいろ試すのは悪いことではありません。
何もやらないより絶対に良い!自分にあった方法が見つかる可能性は増えます。

しかし、違う道を沢山アタックしても改善が見られず、
それによって、がっかりし、焦燥し、挫折し、消耗する可能性もあります。
とくに、不眠の悪循環に陥っている時には、不眠に対する執着が強くなっていたりします。

試すときは、「すがる」のではなく、「実験する」や「当たればラッキー」ぐらいの気持ち・思考で取り組むのが正解です。

 

6.不眠恐怖症

最終的に、眠ることが不安や緊張することであると脳に刷り込まれ、
さらに進むと不眠症であることが恐怖になってしまいます。
するとますますネガティブスパイラルは深くなっていきます。
もはや別の精神的疾患の入口に立っているかもしれません。

 

不眠のネガティブスパイラル脱出方法

要は↑上記の逆を考えればいいということになりますが・・・

 

1.眠れている私を思い出す。

当たり前ですが、元々は眠れていたわけです。
眠れない私に意識を集中するのではなく、眠れている自分を思い出してください。

その時の生活はどんなでしたか?
どんなことが楽しかったのですか?
どうするとよく眠れましたか?

原因も、対処法も本当は自分の体が知っているはずです。

 

2.薬だけでなく、生活改善や行動療法を取り入れる

「やらねばならない」思考はやめて、
「やってみよ~」と楽な気持ちで気長に試す。

 

☆刺激制御療法
⇒寝室=眠れないところの刷り込みを取り去り、寝室=眠れる場所だと脳を書き換える

・眠くなるまで床につかない
・睡眠・SEX以外で寝室に入らない
・布団に入っても20分以上寝付けない時は起きてほかの部屋で活動する。また眠くなったら布団に入る。
・できるだけ同じ時刻に起きる。
・でも。就寝時刻は気にしない。

 

☆睡眠制限療法
⇒布団の中に長くいなければならない=長時間寝なくてはいけない思い込みによる、
相対的な不眠時間延長体験(眠れないのに布団の中にいる時間を不眠とカウントするクセ)をなくす

・自分の理想又は思い込み必要睡眠時間(例えば私は7時間寝なくてはならない)ではなく、
ここ最近の平均睡眠時間(例えば5時間半)ならば、プラス15分だけ長く床にいるようにする。
ねむれないのならそれ以上はいなくてよい。
※ただし、一般的に5時間未満はあまりオススメできません。
・昼寝の禁止。
・布団の中にいる時間の9割は眠れたな!と5日間感じたら、15分ずつ布団の中にいる時間を伸ばしていく。
・全て時間の調整は、起床時刻はずらさず、就寝時刻で調節。

 

☆筋弛緩法
⇒体の緊張状態を解くのに効果的。体を寝る準備に入らせます。

☆自律訓練法
⇒自己暗示によって心身をリラックス状態に持っていきます。

☆マインドフルネス瞑想法
⇒負のスパイラル思考を一旦断ち切り、脳と心を落ち着かせるのに最適です。
寝る前の考えすぎ・悩みすぎにストップをかけるのにも有効です。

 

 

まとめ

いずれにせよ、ストレスが一番の原因です。
余計な不眠恐怖思考でストレスをさらに追加しないでください。

不眠でも直接は死なない。
眠らなければならない思考は止めましょう。
眠いから眠るで「とりあえず」はいいのです。
次のステップはまだ先です。
思い込みや睡眠に対するネガティブ思考が止まらない状態からぬけだし、体も心も一旦リラックスさせるゆとりを持つことが大切です。

「まぁいいかぁ~」これは鬱の治療にも使われる思考法ですが、
「あー今日も眠れなかった・・・でも、明日はお休み寝坊してもいいし、ま、いっかぁ~。」
それぐらい思えるようになるといいですね。

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